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「Core Ultra」は、Intelが新たに打ち出したCPUシリーズで、「Core Ultraシリーズ1」と「Core Ultraシリーズ2」が存在します。
本記事では、おもにゲーミングPCに搭載されることが多い「Core Ultraシリーズ2」(以下、「Core Ultra」)と「Core i 14000シリーズ」(以下、「14世代CPU」)の特徴や違いを紹介していきます。

【監修者】ゲームPCラボ管理人
KUL
当時ハマっていたMMOが好きすぎてそのまま運営会社に就職、その後ゲーム内イベントの企画やデバッグ・GMなどを担当していました。今は業界から離れてしまったもののゲーム好きなのはずっと変わらず。
社会人になりたての頃に何もわからないまま購入したゲーミングPCで失敗…。最近周囲でゲーミングPCを検討する人が増えてきたこともあり、自分と同じ失敗をしてほしくないという思いからこの「ゲームPCラボ」を立ち上げました。

【執筆者】ゲームPCラボ ライター
ベル塚ベル
ゲーム関連の雑誌・書籍、そしてWebサイトを中心に執筆活動を行うフリーライター。生粋のゲーマーであり、仕事もプライベートもゲーム三昧。
Steamで頻繁にゲームをプレイすることから、ゲーミングPCにも精通しています。その知識と経験を活かし、読者の皆さんがより快適にPCゲームを楽しめるような情報をお届けします。
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CPUには「Ryzen 7 7700」を採用し、メモリとストレージもそれぞれ32GB・1TBを標準搭載しているため、大きなカスタマイズの必要もなく、初心者の方でも扱いやすいモデルです。

Intelの新世代CPU「Core Ultra」。このCPUは、「14世代CPU」に代わるものとして、ゲーミングPCに搭載されるケースが増えています。ウルトラという大層な名を冠するうえに、最新世代のCPUなのだから、当然ゲーミング性能は「Core Ultra」のほうが上、と言いたいところですが、じつはゲーミング性能は「14世代CPU」のほうがやや優れています。
簡単に言うと、「Core Ultra」はAIや機械学習に強く、発熱量が低い反面、ゲーミング性能は“若干”低めです。一方、「14世代CPU」はAIや機械学習が苦手で発熱量が高いものの、ゲーミング性能は“若干”高めとなります。強調している通り、両者の差はわずかです。プレイするゲームや使用環境によって差が出る場合もあれば、出ない場合もありますが、基本的なゲーミング性能は「14世代CPU」のほうが上です。
「Core Ultra」はゲームよりもAI用途に向いた性能

「14世代CPU」のほうがゲーミング性能にやや優れている理由は、ズバリ「Core Ultra」がAI用途向けに調整されているためです。
「Core Ultra」には「NPU(Neural network Processing Unit/エヌピーユー ニューラルプロセッシングユニット)」と呼ばれる、AIや機械学習を高速化するプロセッサが搭載されています。
端的に言うと、従来の部署(CPU)とは別にAIや機械学習専門の部署(NPU)が新設されたイメージです。14世代までは、CPUのみであらゆる演算処理をこなしていました。しかしAI処理は特殊な性質を持つため、CPUにかかる負担が大きく、場合によってはほかの処理に遅延が生じる可能性もありました。いくら処理能力の高いCPUとはいえ、大量の作業と並行して、慣れていない業務を任されれば、作業効率が落ちるのも当然です。
そこで登場したのがNPUです。従来の作業はCPUが行い、AI関連の作業はNPUが担当。こうすることで作業効率が上がり、パフォーマンスダウンのリスクも大幅に減るというわけです。

現状、「Core Ultra」はNPUを搭載している関係で、CPU側の性能が若干調整されており、従来のCPUと比べてスレッド数(処理を同時に実行できる最大数)などが少なくなっています。これらの要素が性能に多少影響し、結果的に旧世代である「14世代CPU」のほうがゲーミング性能で優れた状態となっています。
ちなみに、NPUがAI処理に優れている理由は、演算ユニットをただ横に並べたCPUとは異なり、人間の脳神経細胞(ニューロン)の仕組みを模した構造を採用しているからです。この特殊な構造により、複雑なAI処理を効率よく実行することができるのです。

「Core Ultra」のCPU性能が大きく進化すれば、ゲーミング性能もパワーアップする予感。今後に期待です!
「14世代CPU」の方がよりコスパに優れている
「14世代CPU」は旧世代ということもあり、価格が安いのも大きなポイントです。もっともわかりやすい例が、ドスパラのゲーミングPC「GALLERIA XA7C-R57」というモデルです。
下記のとおり、「GALLERIA XA7C-R57」はCPU以外の性能はまったく同じです。
GALLERIA XA7C-R57 Intel Core Ultra搭載 | GALLERIA XA7C-R57 Intel Core i7搭載 | |
---|---|---|
CPU | Core Ultra 7 265F | Core i7-14700F |
GPU | GeForce RTX 5070 12GB | GeForce RTX 5070 12GB |
メモリ | 32GBメモリ DDR5 | 32GBメモリ DDR5 |
ストレージ | 1TB Gen4 SSD | 1TB Gen4 SSD |
価格 | 284,980円 | 274,980円 |
にも関わらず価格は「Core i7-14700F」搭載型のほうが1万円ほど安くなります。これでゲーミング性能もやや高いのですから、ゲーム目的であれば「14世代CPU」のほうがコストパフォーマンスは優れていることになります。

ちなみに上記のCPUではありませんが、同じ「Core Ultraシリーズ2」に属する「Ultra 7 265K」と「Ultra 7 265KF」は、2025年5月6日に価格改定が行われました。「Ultra 7 265K」は399ドルから299ドル、「Ultra 7 265KF」は384ドルから284ドルと大幅な値下げ。やはり「Core Ultra」はやや不人気みたいですね(汗)
ただ「Core Ultra 7」以上ならCore Ultraも一考の余地アリ!
じつは、4K解像度でプレイする場合は、「14世代CPU」よりも「Core Ultra」のほうがパフォーマンスでやや勝ることもあります。とくにシリーズの中でも性能が高い「Core Ultra 7」以上では、その傾向がより顕著に見られます。
ただし、“やや勝ることがある”といっても、必ずしも4K環境で「Core Ultra」が好結果を出すとは限りません。また、フルHDやWQHDでは十分なパフォーマンスを発揮し切れず、「14世代CPU」に大きな差をつけられるケースも…。
この辺についてはプレイするゲームや環境によって変わるため、一概には言えませんが、4K以上の解像度でゲームをプレイしたり、NPUが必要だったりする場合は「Core Ultra 7」シリーズ以上のCPUを選ぶのもアリです!

「Core Ultra」は将来性を感じさせますが、現状はなんとも言えない微妙な子扱い…。後述しますが、ゲーミング以外の性能はわりと優秀です。

「Core Ultra」はゲームよりもクリエイティブ面を重視する人向け
「Core Ultra」は、ズバリ「クリエイティブな用途を重視する人」、つまりクリエイター志向の方向けのCPUです。
マルチタスク性能が高いため、動画編集や3Dレンダリングといった負荷のかかりやすい作業もスムーズにこなせます。また、目玉であるNPUによって、AI機能を搭載したアプリケーション上での画像・動画・音楽などの編集作業もスピーディーに処理できるため、より高品質な作品を作り上げることが可能です。
近年はあらゆる分野でAI技術の進化が著しく、将来的にNPUがより幅広い場面で活用される可能性も高いでしょう。そうした点からも、クリエイティブな作業を重視する方には「Core Ultra」をおすすめします。
また、肝心のゲーミング性能についてですが、「14世代CPU」と比べるとやや劣るものの、「モンスターハンターワイルズ」など要求スペックが高いゲームのプレイにも十二分に対応できる性能を有しています(もちろん、GPUが要求スペックを満たしていることが前提です)。そのため、「Core Ultra」を選んだからといって、ゲームプレイで支障が出ることはありません。
「14世代CPU」はゲームを重要視する人向け
「14世代CPU」は、「ゲーミングをメインにしつつも、クリエイティブ性はそこまで重視しない」という方向けのCPUです。
「Core Ultra」同様に、豊富なコアとスレッド数を備えているため、動画編集をはじめとした、各種編集能力はかなり高め。ただし、NPUを搭載していないため、AIを活用した機能を利用する場面ではやや物足りなさを感じることもあります。
そのため、AI機能を必要としないシンプルなクリエイティブ作業で十分な場合や、ゲームプレイを最優先したい場合は、コストパフォーマンスが高く、ゲーミング性能にも優れた「14世代CPU」を選ぶのがいいでしょう。

「Core Ultra」と「14世代CPU」、それぞれの特徴や違いについて解説していきます。
「Core Ultra」の魅力はクリエイティブ能力と省電力性
「Core Ultra」には下記のようなメリットがあります。ズバリ“AIや機械学習を含めたクリエイティブ能力の高さ”と“省電力性”です。
- NPUによってローカル環境でのAIや機械学習に強い
- 総じてクリエイティブ性能が高め
- 省電力のため、発熱量が低い
NPUが搭載されていることで、ローカル環境(オフライン)での音声認識、機械学習、AIアシスタントといった、CPUがあまり得意としないAI処理を効率よく行うことができます。また豊富なコアとスレッド数を有するため、動画編集などのクリエイティブ用途でも抜群のパフォーマンスを発揮してくれます。
CPUへの負荷が少ないことから、消費電力や発熱量が小さいのも特徴のひとつ。CPUの温度が上がりにくいため、空冷式のCPUクーラーでも冷却しやすく、温度上昇によるパフォーマンス低下も抑えやすくなっています。高解像度環境での長時間のゲームプレイや動画編集など、極端に負荷がかかる用途でPCを使う方にとっては、大きな強みとなります。
デメリットは、新世代CPUでありながらゲーミング性能が若干低下していることと、価格の高さ。純粋なゲーム用途の観点から見ると、これらはかなり致命的なデメリットと言えます。
- ゲーミング性能は若干低め
- 内蔵GPUを搭載しているもののゲーミングPCでは活かしにくい
- 値下げされたものの14世代CPUよりは価格が高い
CPUの温度が上昇しづらいという魅力があるものの、CPUクーラーのアップグレードで解決できてしまうため、予算に余裕がある人にとってはそこまでの魅力とは言いがたいのが現状です。逆に、CPUクーラーにあまり予算をかけられない人にとっては、「Core Ultra」の存在はかなりありがたいと言えるでしょう。

内蔵GPUがあるおかげで、GPU(GeForceやRadon)が壊れた際も映像の出力ができます。ただし内蔵GPUで出来るのは軽いゲームや事務作業ぐらい。3Dゲームに対応できるほどの力はないため、あくまで非常用と割り切りましょう。
「14世代 CPU」は価格とバランスの取れた性能が強み
「Core 14世代」のメリットは、ゲーミング、動画編集、3Dレンダリングなどで安定したパフォーマンスを発揮する点です。
- ゲーミング性能に安定感がある
- 動画編集や3Dレンダリングといったクリエイティブ性能も強い
- 「Core Ultra」よりも安価
いろいろなコンテンツをそつなくこなしたい場合、「Core 14世代」のバランスのよさは大きな強みになります。
その一方で、NPUを搭載していないため、AI処理においては十分な力を発揮しきれないのが難点。ゲーミングPCをAI関連の分野でも利用したい方にとっては、大きなデメリットとなり得ます。
- AI処理や機械学習を行うとCPUに大きな負荷がかかり、パフォーマンスが低下することがある
- 消費電力が高く、CPUの温度が上がりやすい
- CPUクーラーのカスタマイズで追加費用が必要なケースも
また、「Core 14世代」は巷で“爆熱”と揶揄されるほど、消費電力が高く、温度が上がりやすいと言われています。用途によっては、高温によりCPUのパフォーマンスが低下する場合もあります。こうした温度問題を手っ取り早く解決する方法は、CPUクーラーを冷却力の高い水冷式にアップグレードすることです。
しかし、水冷式は導入に10,000円〜30,000円前後の追加費用が必要となるため、「Core Ultra」搭載モデルよりも総額が高くなる場合も…。
ゲーミング性能、NPU、発熱、どこに重きを置くかで「Core 14世代」の評価も変わってきそうです。

4K解像度の動画編集をするとか、ベンチマークで何度も負荷をかけるとか、そういった使いかたをしないのであれば、1万円台のCPUクーラーでも十分だと思います。
今回は今話題の「Core Ultra」と「14世代CPU」についてご紹介しました。
最先端のAI技術に重点を置いた「Core Ultra」と、バランスのよさが魅力の「14世代CPU」。ゲーミング性能に関しては「14世代CPU」に軍配が上がりましたが、用途によっては「Core Ultra」のほうが便利な場合もあります。CPUを選ぶ際は、どのような用途で使用するかをよく考えて検討しましょう。
ゲームPCラボでは、このほかにもゲーミングPCにまつわるさまざまな記事を定期的に投稿しています。ぜひ今後のPC選びの参考にしてみてください。
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