ジャギーを抑える技術「アンチエイリアス」意外と知られていない特徴と種類を解説

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グラフィックを補完する技術「アンチエイリアス」(アンチエイリアシング)

ゲームの設定画面では定番と言ってもいいほど頻繁に目にする項目です。しかし、多くの作品ではオプション内に出てくる単語について補足がなされないため、「単語自体は知っているけど、どういう機能かは知らない。とりあえずオンにしている」という人も多いはず。

今回はそんなグラフィック設定のひとつである、アンチエイリアスをピックアップ。どういった機能なのか、さらに種類や必要性などについて詳しく解説していきたいと思います。

この記事の監修者・執筆者

【監修者】ゲームPCラボ管理人

KUL

経歴・想い

当時ハマっていたMMOが好きすぎてそのまま運営会社に就職、その後ゲーム内イベントの企画やデバッグ・GMなどを担当していました。今は業界から離れてしまったもののゲーム好きなのはずっと変わらず。

社会人になりたての頃に何もわからないまま購入したゲーミングPCで失敗…。最近周囲でゲーミングPCを検討する人が増えてきたこともあり、自分と同じ失敗をしてほしくないという思いからこの「ゲームPCラボ」を立ち上げました。

【執筆者】ゲームPCラボ ライター

ベル塚ベル

経歴・想い

ゲーム関連の雑誌・書籍、そしてWebサイトを中心に執筆活動を行うフリーライター。生粋のゲーマーであり、仕事もプライベートもゲーム三昧。

Steamで頻繁にゲームをプレイすることから、ゲーミングPCにも精通しています。その知識と経験を活かし、読者の皆さんがより快適にPCゲームを楽しめるような情報をお届けします。

画像補正技術「アンチエイリアス」

ギザギザ描画「エイリアス」

アンチエイリアスを説明する前に、「そもそもエイリアスって何ぞ?」という部分から説明しましょう。

エイリアス(エイリアシング)とは、斜線・曲線の物体が画像やゲームの画面に映し出された際、境界線が階段状にギザギザしてしまう現象を指します。このギザギザは別名「ジャギー」とも呼ばれています。

ベル塚ベル
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モノで例えると、「丸いボールの表面(縁)が階段状になっていて、イマイチ丸みを感じられない」といった感じです。

単に見栄えが悪いというだけでなく、世界観への没入を阻害する要因にもなるため、開発者としてもユーザーとしても避けたい現象ではあります。

では、なぜエイリアスが発生するのでしょうか。PCモニターに表示される画像は、「ピクセル」と呼ばれる格子状に並んだ正方形のマスで構成されており、そのマスひとつずつに色が割り振られることでキャラクターや物体を表現する仕組みになっています。

正方形のマスという仕様上、斜線・曲線を表現する際はどうしても段差のようなギザギザになってしまい、結果的にエイリアスが発生してしまうわけです。

エイリアスはゲームだけでなく、プリンターで出力した画像や、3Dグラフィックなどでも見られる現象で、クリエイティブの分野においてはつねにクリエイターを悩ませる要素だったりします。

アンチエイリアスとは

アンチエイリアスとは、ギザギザに見える部分に何らかの補完を加えて、滑らかに見せる技術のことです。

ピクセルを複数の小さなピクセル(サブピクセル)に分割して細かく色をつけたり、周辺のピクセルと色を混合させたりと、滑らかに見せる方法はさまざま。種類によって仕組みは異なりますが、ギザギザ部分が目立たないようにするための技術である点は共通しています。

なお、あくまで滑らかに”見せている”だけであって、ピクセルの格子構造そのものを改変しているわけではないため、拡大してみるとギザギザそのものはしっかり残っています。とはいえ、その効果は凄まじく、モニターから離れて見る分には、本当にギザギザがなくなって美しい輪郭線が表示されているかのように見えるのです。

ベル塚ベル
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エイリアス(aliasing)をなくす(anti)。だからアンチエイリアスと呼びます。

エイリアスがもたらすゲームへの悪影響

一番大きな悪影響は、違和感による没入感の阻害でしょう。

斜線や曲線の表現は、キャラクターや物体をはじめとする、さまざまなものに用いられています。「よく見てみると顔の輪郭がギザギザで何か不気味」「ジャギーのせいでつねに不自然さや違和感を感じる」なんて印象を持ち続けてしまうと、キャラクターに感情移入しづらくなり、世界観への没入にも支障が出てしまいます。

フレームレート(FPS)の低下とは異なり、単なる見え方の問題ではありますが、没入感はゲームのおもしろさや楽しさに大きくつながる重要な要素であるため、ないがしろにはできません。

ですが、中には「オフにしてるけど今のゲームでエイリアスを感じたことがない」という方もいるでしょう。それには「解像度」が大きく関係しています。

解像度とは、1インチの中にいくつのピクセルが並んでいるのかを表す、画像の鮮明さを示す数値のことです。昔のゲームは低解像度(ピクセルの数が少ない)であったため、ギザギザが際立っていました。ドット絵はその最たる例と言えるでしょう。

アンチエイリアスの設定は同じでも解像度が変わるとギザギザも増減する

しかし、現代ではフルHD、WQHD、4Kと、高解像度(ピクセルの数が多い)が一般的であるため、人によってはエイリアスを感じづらくなっているのです。

ただし、高解像度でもエイリアスが気になる要因は存在します。それが、境界線付近のピクセルが細かくうねったり、ちらついたりして見える現象「クロール」です。人によってはより強い違和感を覚え、ときには不快感につながることも。

ベル塚ベル
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グラフィックに対して敏感な人ほど、アンチエイリアスが有効なのです。

アンチエイリアスによるデメリット

アンチエイリアスのデメリットはおもにふたつ。

ひとつ目はPCに負荷がかかるという点です。当然ですが、アンチエイリアスをオンにすると、ギザギザを滑らかに見せる追加の処理が発生するため、PCに多かれ少なかれ負荷をかけることになります。処理の重いアンチエイリアスの場合、PCのスペックと遊ぶゲーム次第では、FPSが低下するなど快適さを損なう可能性もあります。

ふたつ目はぼやけるという点です。現在もっとも広く採用されているアンチエイリアスは、滑らかさと引き換えに、細部が少しぼやけて見えてしまうことがあります。ゲームによってはそのぼやけが顕著なケースもあり、2024年に海外のソーシャルサイト「Reddit」で大きな話題になったこともありました。

アンチエイリアスをオンにしたことで「ぼやけが気になって逆に世界観を壊している」「余計に目が疲れる」といった声も挙がっており、ゲームや環境によってはその技術が仇となってしまうようです。

ベル塚ベル
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Redditで実際に投稿された内容はこちら。「ワセリンを塗ったよう」と指摘されていました。

代表的なアンチエイリアス

ここからは、数あるアンチエイリアスの中でも代表的な機能をピックアップして紹介します。

TAA (Temporal Anti-Aliasing)

前後のフレーム(コマ)のデータを参考にして、ギザギザ部分に補完を行い、滑らかに見せる技術。PCへの負荷が軽く、ほかのアンチエイリアスよりも“動く描写”に対して安定してギザギザを補正できるのが特徴です。

推奨スペックが高く、かつ動作の多い現代のゲームと相性がいいとされており、多くのタイトルに採用されている主流のアンチエイリアスです。

一方で、画面が少しぼやけたように見えたり、残像感が強くなったりするのがネックといえます。ちなみに、前述したRedditで指摘されていたアンチエイリアスとは、このTAAのことです。

FXAA (Fast Approximate Anti-Aliasing)

エイリアスが目立つ原因のひとつである「輝度差」(対象物と背景の明るさの差異)を計算し、ギザギザ部分とその周囲のピクセルの色を混合することで目立たなくさせるという方法。

画面を一度描画したあとから画像処理を行う「ポストプロセス型」と呼ばれる技術で、中でもFXAAは負荷が非常に軽いことでも知られています。ただし、TAAと同様に画面が少しぼやけてしまうという弱点も持っています。

MSAA (Multi-Sample Anti-Aliasing)

ピクセルを2~8つのサブピクセルに分割し、ポリゴン(3Dモデル)の輪郭部分をもとに色を反映する仕組み。

物体の輪郭はきれいになる反面、そこに貼られている柄や模様といったテクスチャのギザギザには対応できません。

SMAA (Subpixel Morphological Anti-Aliasing)

FXAAと仕組みは似ていますが、低負荷かつ素早くギザギザ部分を補正してくれるポストプロセス型のアンチエイリアスです。

ぼやけづらく、シャープな輪郭に仕上がるのが大きな特徴で、FXAAとMSAAの長所を兼ね備えた技術と言えます。

GeForce独自の機能「DLAA」

AIの力で画質の向上とアンチエイリアスを両立させたグラフィック処理技術。ギザギザ部分の仕上がりは、SMAAのようにぼやけが少ないのが大きな強み

「AIアンチエイリアシング」と呼ばれるカテゴリに属するこの技術は、NVIDIAのグラフィックボード(GPU)である「GeForce RTX」シリーズで利用できます。

魅力的な機能ではありますが、同GPUが持つアップスケーリング技術「DLSS」との併用は基本的にできません。つまり、マルチフレーム生成の恩恵が一切受けられないため、素の状態で快適なFPSを安定して発揮できるぐらい高性能なマシンスペックがないと、使いこなせないのが難点です。

AMDの新技術「Native AA」

Native AAは、AMDのアップスケーリング技術「FSR 3」から導入された独自の画質向上技術。アンチエイリアスとシャープネス処理(デジタル処理で輪郭を強調する技術)によって、高解像度化とぼやけの少ないシャープな描画を実現してくれます。

DLAAと異なり、Native AAはフレーム生成との併用ができる点も大きな魅力です。

アンチエイリアスは必要?

ここまで読んだ方の中には、「結局、アンチエイリアスはいるの? いらないの?」という疑問が浮かんでいると思います。ここではその疑問にお答えしていきます。

オフでも問題はない

ここまでいろいろと説明してきましたが、アンチエイリアスが必要かどうかは、ゲームグラフィックに対してどう感じるかによる部分が大きいため、正直なところ、人それぞれです。

とくに現代では高解像度でのゲームプレイが一般的であるため、極端に視認性が悪くなるようなエイリアスはあまり見られません。

アンチエイリアスが肌に合わないと感じた場合は、オフにしてもまったく問題ありません。自分に合った環境を見つけて、ゲームを楽しみましょう。

オンにするならTAAかSMAAの二択!

とはいえ、グラフィックのギザギザを低減し、物体が動く際に感じるうねりを抑えてくれるため、アンチエイリアスはオンにしておいて損はありません

おすすめは、幅広いゲームに採用されているTAA、またはバランスのいいSMAAのいずれかです。

まずは、動きのあるエイリアスに効果的な主流のTAAで遊んでみましょう。絶えず何かが動いているシーンでも滑らかに見せてくれるため、ゲームの没入感を高めてくれるはずです。

ぼやけや残像感が気になり、それがゲームプレイの妨げになる場合は、SMAAを選ぶといいでしょう。

ベル塚ベル
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オプション画面から簡単に切り換えられるので、とりあえず試してみるのがおすすめ!

GPU次第ではDLAAやFSR 3も視野に

TAAやSMAAではしっくり来ないという場合は、搭載しているGPUに応じてDLAAやNative AAを試してみるのもひとつの手です。

これらは既存のアンチエイリアスとは異なる、NVIDIAやAMDの独自技術であるため、あなたが求める仕上がりになるかもしれません。

ただし、前述のとおり、DLAAは基本的にDLSSと併用できないため、マルチフレーム生成の恩恵が得られない点には注意が必要です。

ベル塚ベル
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FPSが極端に低下して快適にゲームを楽しめない場合は、DLAAは諦めてDLSSを適用しましょう。

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