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モンハンワイルズがフレーム生成を前提とした推奨スペックを公開したこともあり、アップスケーリング技術のDLSSとFSRに注目が集まっています。
両方ともアップスケールもフレーム生成も可能な技術ではありますが、それぞれどういった特徴があるのでしょうか。また、そもそも両方実装されている場合にどちらを選べば良いのでしょうか……。
今回はそんな疑問に答えるために、DLSSとFSRの比較解説を行っていこうと思います。
ぜひ最後までご覧ください!

ゲームPCラボ管理人
KUL
当時ハマっていたMMOが好きすぎてそのまま運営会社に就職、その後ゲーム内イベントの企画やデバッグ・GMなどを担当していました。今は業界から離れてしまったもののゲーム好きなのはずっと変わらず。
社会人になりたての頃に何もわからないまま購入したゲーミングPCで失敗…。最近周囲でゲーミングPCを検討する人が増えてきたこともあり、自分と同じ失敗をしてほしくないという思いからこの「ゲームPCラボ」を立ち上げました。
CPUには高価格帯モデルにも搭載される「Core i7-14700F」、GPUには最新の3Dゲームも十二分に遊べる「RTX 4060 Ti 8GB」を搭載。20万円を切るモデルながらメモリ32GB、1TB SSDもしっかり搭載した高コスパモデルです。
「DLSS」はNVIDIA社のアップスケーリング技術
DLSS(Deep Learning Super Sampling)はNVIDIA社が開発したAIベースのアップスケーリング技術を指します。この技術は、RTXシリーズGPUに搭載されている専用ハードウェア「Tensor Cores」を使用して動作するため、基本的にNVIDIA製のGPUでのみ利用可能です。
従来の「アップスケール」は、低解像度でレンダリングした映像を単純に高解像度に拡大するだけで、映像の粗さやノイズが目立ちやすいという課題がありました。DLSSは、この課題を解決するためにAIモデルを用いた新しいアプローチを採用しています。

事前にトレーニングされたAIモデルを用いて、アップスケール時に発生するノイズを除去し、映像の細部を補完することで、高画質と高フレームレートの両立が実現できるようになりました。これによって従来よりも低い負荷で高解像度の映像を快適に楽しむことが可能となっています。

なお、DLSS3やDLSS4はアップスケール技術以外にも様々な機能(フレーム生成など)を担うようになっているため、もはや単純な「アップスケール技術」とも言い切れなくなってきています。
「FSR」はAMD社のアップスケール技術
FSR(FidelityFX Super Resolution)は、AMD社が開発したアップスケーリング技術です。この技術は、DLSSとは異なり専用のハードウェアに依存しないため、AMD製に限らない幅広いGPUで利用することができます。
DLSSがAIを用いて従来の「映像の粗さやノイズ」という課題へアプローチしたのに対し、FSRは独自の空間・時間的アップスケーリング技術を用いてこの課題へアプローチしています。
ゲーム内でレンダリングされたフレームを元に、ディテールを補完しつつ映像を高解像度にアップスケールすることで、高画質とパフォーマンス向上の両立を実現しました。さらに、FSRはオープンソースとして提供されているため、多くのゲームタイトルで採用が進んでいます。

FSRは画像での説明が難しいのですが、DLSSと同様に通常のアップスケールとは異なるアプローチを行っているため、こちらも低負荷・高解像度・高フレームレートが実現できる技術です。

ここからはNVIDIA DLSSの特徴や性能についてメリット・デメリットを踏まえて解説します。
ざっとまとめると以下の通りです。
- 派手な動きでもブレやノイズが少ない
- 高解像度での繊細な表現に強い
- DLSS3以上ではフレーム性能機能も使える
- NVIDIA RTXシリーズ以外は非対応
- フレーム生成はRTX4000シリーズ以上のみ対応
それぞれもう少し詳しく解説していきます。
派手な動きでもブレやノイズが少ない
DLSSの一番の特徴は、大きなアクションや派手な動きの多い場面でも映像が乱れにくいこと。
あらかじめトレーニングされたAIモデルを用いて映像の補完が行われるため、残像やノイズが生じにくく、動きの速いゲームであってもしっかり映像のディティールが保持されます。

副次的なメリットとして、意図しない残像が生じにくいので3D酔いは起こりにくいかもしれません。
高解像度での繊細な表現に強い
DLSSは、FSRと比べて遠景のディティールやテクスチャの細かい表現の補完が優れているという特徴もあります。
これは事前にトレーニングされたAIモデルが「映像の理想的な状態」を作り上げようとするため。低解像度でレンダリングされたフレームを元にAIが映像を補完処理し、そのゲームのディティールを「理想」の形で高解像度へ変換しています。
また、NVIDIAはDLSSに対応したゲームごとにAIモデルを最適化しており、それもアップスケールの質・パフォーマンスの高さに拍車をかけています。

特に4Kなどの高解像度では効果的と言われています。
DLSS3でフレーム生成機能が使える
DLSS3以降は「フレーム生成機能」を利用することができます。
アップスケーリング技術自体がもともと低負荷で高解像度を実現させる技術ですが、DLSS3ではさらに、AIがフレームとフレームの間の動きを計算して「中間フレーム」を生成する仕組みが導入されました。この中間フレームにより、従来よりも高いフレームレートを実現させています。
また、中間フレームはゲームエンジンのレンダリングを経由せずに生成されるため、GPUの負荷が増えにくいというメリットも。これにより、最大で2倍以上のフレームレートを維持しつつ、快適にゲームが楽しめるようになっています。

ちなみにPC版のモンハンワイルズはこの「フレーム生成」の利用が前提となっています。フレーム生成なしで高いフレームレートを出すには、かなりのハイスペックPCが必要です。
NVIDIA RTXシリーズ以外は非対応
一方で、DLSSはNVIDIAのRTXシリーズ以外は非対応というのが大きなデメリット。
AMD製のGPUはもちろん、GTX10シリーズなどでも利用できません。DLSSを使いたい場合はRTXシリーズのグラボを搭載したPCが必須となるので、持っていない方は初期費用がかかってしまいます。

後ほど解説しますが、DLSSが使えない方は基本的にFSRをはじめとする他のアップスケーリング技術を使うことになります。
フレーム生成(DLSS3)はRTX40シリーズ以上のみ対応
フレーム生成機能は、RTXの中でもRTX40シリーズ以上にしか対応していない点もデメリットのひとつです。
たとえば「RTX3080」は今でも現役で使えるスペックの高いGPUではありますが、RTX30シリーズなのでDLSS3を利用することはできません。そのため、DLSS3に対応したゲームタイトルにおいては、格下のRTX4060よりもフレームレートが出ないということも起こり得ます。

ということもあるので、NVIDIA製のグラボはひとまず40シリーズ以上のものを選んでおくことをおすすめします。

ここからはAMD FSRの特徴や性能についてメリット・デメリットを踏まえて解説します。
ざっとまとめると以下の通りです。
- ほとんどのGPUで利用可能で互換性が高い
- 低価格PCでも気軽にフレーム生成が利用できる
- オープンソースで対応タイトルが増えやすい
- 動きの多いシーンで残像やノイズが発生しやすい
- AIを使わないためDLSSと比べて負荷がかかりやすい
こちらもそれぞれ詳しく解説していきます。
ほとんどのGPUで利用可能で互換性が高い
一番のメリットはハードウェアを選ばない点です。FSRは、AMD製に限らず、NVIDIA製やIntel製のGPUでも利用することが可能です。
これはFSRがDLSSにおける「Tensor Cores」のような専用ハードウェアを必要とせず、GPU内の汎用的なシェーダーユニットを使ってアップスケーリングを行う仕組みであるためです。このシェーダーユニットは基本的にすべてのGPUに搭載されているため、GPUさえ搭載されていればメーカーを問わずFSRを使用することができます。
低価格PCでも気軽に利用できる
GPUさえ搭載していれば、低価格帯のPCでも利用できるというのも大きなメリットです。
また、フレーム生成機能があるのは「FSR3.0」以上に限られますが、この「FSR3.0」もハードウェア要件がかなりゆるめ。AMD製なら「Radeon RX 50シリーズ以上」、NVIDIA製なら「RTX20シリーズ以上」と、一昔前に購入したPCでも利用することができます。
オープンソースのため対応タイトルが比較的増えやすい
AMDはFSRをオープンソース技術として提供しているため、対応ゲームが比較的増えやすいという特徴もあります。

「オープンソース」とはソフトウェアのソースコード(設計図)が公開されていることを指します。コードを自由に改変・使用ができるため、開発者は自分のプログラムに比較的容易に組み込むことが可能です。
一方でで、DLSSはオープンソースではないため、FSRと比べると対応タイトルが少ない傾向にあります。
世代の古いGPUを搭載したPCを使っている方にとっては、様々なゲームが遊べるようになるFSRは心強い味方といえるかもしれません。
動きの多いシーンで残像やノイズが発生しやすい
DLSSとは異なり、AIを活用した補完ではないため動的なシーンではレンダリングの精度が下がります。
派手な動きの多いアクションゲームやレースゲームなどではフレームの補完がうまくいかず、残像やノイズが発生するといった声がよく聞かれます。

たとえばモンハンワイルズはDLSSとFSRの両方が利用できますが、少なくともCBT段階ではDLSSと比べて残像や遠景の粗さが目立つ場面がありました。
AIを使わないためDLSSと比べて負荷がかかりやすい
FSRは、アップスケーリングにしてもフレーム生成にしても、GPUへの負荷がかかりやすいというデメリットがあります。
DLSSはAIを活用することでGPUへの負荷をかけずにパフォーマンスを向上させていますが、FSRはAIを使っているわけではありません。そのため、結局古いGPUでは高い描画負荷に耐えることができず、性能の向上が限定的になってしまうケースも見られます。
どんなGPUでも使用できることは確かですが、最大限の恩恵を受けるためには一定以上の性能は必要となってきます。
ここからは、

で、結局DLSSとFSRのどっちを使ったらいいの?
という疑問にお答えしていきます。
モンハンワイルズをはじめ、最近はDLSSとFSRの両方を実装したゲームも出てきているため、どちらを選んだら良いのか迷っている方もいるかと思います。そこで今回は「搭載されているGPU」に応じてどちらのアップスケーリングを使用すべきかを簡単にまとめてみました。
ぜひ迷った際の参考にしていただければと思います!
RTX40シリーズのユーザー→【DLSS】

RTX40シリーズのグラボを持っているならDLSS一択!何も考えずにDLSS!
RTX40シリーズを使用している方は何も考える必要はありません。DLSSを使いましょう。
DLSSはNVIDIA製のGPUに最適化されているのでこの恩恵を受けない手はありません。特にRTX40シリーズであればDLSS3の「フレーム生成機能」も使用できるため、GPUの性能以上の高いフレームレートを維持することが可能です。
何か特別な問題でも起こらない限りはFSRへ浮気をする必要はありません。
RTX30シリーズで動きの多いゲームを遊びたい→【DLSS】
RTX30シリーズも基本的にはDLSSがおすすめです。
ただ、RTX30シリーズは「DLSS3」に対応していないため、フレーム生成機能が利用できない点には注意が必要。RTX40シリーズと比べるとフレームレートは伸びないかもしれません。

DLSS3対応タイトルだと「RTX3080」が「RTX4060」にパフォーマンスで負けるという現象も起こり得ます。DLSS3の恩恵は意外と大きいんですね。
RTX30シリーズで動きの少ないゲームを遊びたい→【FSRもアリ】
あまり動きが多くないゲームや、フルHD環境でゲームを遊ぶことを想定しているなら、「FSR」を試してみるのもアリです。
特に「FSR3.0」に対応したタイトルの場合、RTX30シリーズもアップスケールとフレーム生成の両方が使用できるため、DLSSよりもパフォーマンスは上がる可能性があります。

ただ、FSRはモンハンのような動きの多いゲームだと残像が気になるという評価もよく見られます。他にも繊細な表現は苦手という評価も。このあたりはゲームにもよるのでDLSSとFSRの両方が使える場合は両方試してみた方がいいかも。
なお、「FSR2.0」以下にしか対応していないタイトルではフレーム生成機能が使えません。その場合はFSRではなくDLSSを利用したほうが良いと思います。
その他のGPUのユーザー→【FSR】
AMD製、Intel製のGPUを使っている方はそもそもDLSSが使えないのでFSRを使用することになります。
また、NVIDIA製のGPUであってもRTX20、GTX10シリーズを使っている方は、FSRを使った方がパフォーマンスは上がるかもしれません。

特にRTX20シリーズであれば一応「FSR3.0」が使えるので高めのフレームレートも狙えるかもしれません。

2025年の年始に新世代GPU「RTX5000シリーズ」とともに発表された技術です。様々な機能がこのDLSS4に含まれるようになったため、もはやただのアップスケーリング技術ではなくなりました。
はじめはRTX5000シリーズのみで使用できると聞いた気がしたのですが、どうやら一部機能以外は下位モデルでも使用することができるそう。ただ、フレーム生成機能はDLSS3と同様にRTX40シリーズ以上、マルチフレーム生成はRTX50シリーズのみに提供されるようです。
とはいえ、今後DLSS4に対応したゲームが本格的に現れてくれば、古いNVIDIAのGPUであってももっと快適に遊べるようになる可能性は十分にありそうです。

ただ、そうなるとFSRの立つ瀬がますますなくなっていくような気も…
フレーム生成のデメリットについて調べてたどりつく方が多いようなので、フレーム生成のデメリットについても簡単に紹介します。
基本的にはメリットが多いものの……
フレーム生成は基本的にメリットの多い技術ではありますが、あえてデメリットを挙げるとするならば下記のようなものがあるかと思います。
- 多少の入力遅延が発生する
- 画質が少し劣化する
- CPUへの負荷がかかる
こちらもそれぞれ少し詳しく解説していきます。
多少の入力遅延が発生する
入力遅延については、そもそもフレーム生成という技術が「本来存在しないはずのフレーム」を追加して差し込むものであることに起因するデメリットです。
この「存在しないはずのフレーム」は、GPUが生み出した通常のフレームとは異なり、プレイヤーのマウス操作やキーボード操作が反映されないため、操作した感覚と視覚の間にわずかなズレを感じることがあります。
特にFPSや格闘ゲームなどの一瞬の判断やキー入力が重要となるゲームの場合、この差は気になるかもしれません。ただ、一般的なゲームであれば特に気にならないレベルの遅延だとは思います。
また、基本的には一緒に実装されているはずの「NVIDIA Reflex」をオンにすることで、この遅延もある程度抑えることが可能です。

ちなみに私はモンハンワイルズでDLSS3とNVIDIA Reflexを適用して遊んでいましたが、遊んでいて特に「なんかタイミングズレるな~」とはならなかったです。
画質が少し劣化する
これはフレーム生成技術のいまの限界でもありますが、完全に同じクオリティのフレームが生成されるわけではないので、画質は元の状態よりも少し劣化します。
特にFSRでは、激しい動きのシーンでブレやすいというのは先ほど説明した通りです。
ただ、こちらはDLSSにしてもFSRにしても、品質設定やモード設定を「バランス」や「クオリティ」に設定することで改善されることが多いです。基本的には「バランス」に設定しておくのが無難かと思います。

だいたい初期設定では「バランス」になっているような気がします。
CPUへの負荷がかかる(特にDLSSの場合)
特にDLSSの場合、フレーム生成なしの状態よりもCPUへの負荷が多くなります。
DLSSはAIがフレームを予測して生成する技術のため、通常の描画処理とは異なりGPUではなくCPUが主に活躍します。このため、搭載されているCPUの性能が低かったり、フレーム生成する前からすでにCPUの稼働率が高い状態だと、思うようにフレーム生成の効果が出ないケースがあります。

スペック不足といってしまえばそれまでですが、たとえばタスクマネージャーを見てCPUが100%稼働しているような状況だとDLSSは厳しいかもです。
今回はDLSSとFSRの違いについて紹介しました。
DLSSはNVIDIA限定ですが、質の高いアップスケーリングとフレーム生成を利用できるのが最大のメリットです。一方で、FSRは質はDLSSに劣るものの、幅広いGPUに対応しているため、古いPCでも技術の恩恵を受けられるのが大きなメリットとなっています。
RTX40シリーズを使っている場合はDLSSを選んでおけばOKですが、RTX30シリーズ以下で両方とも利用できる場合はどちらも試してみると良いかもしれません。
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